伝説の目撃者 ラッキールチアーノと働いた男
ラッキールチアーノと働いた男
元ギャングのスタンレー・グラウソはラッキールチアーノとダッチ・シュルツと共に働いた人物。
今回は彼の話した思い出話を紹介していきます。
グラウソは、103歳の誕生日にマフィア博物館で栄光の日々を振り返った。
グラウソの生い立ち
グラウソはトップレベルのマフィアではなかったものの、禁酒法時代には少々知られた人物。
グラウソはマフィアだった父親の影響で、15才の時から売春宿で働き始た。
そして17歳のときにはカナダから密輸された酒をトラックで各所に配送する仕事につく。
そんなある日、トラックを止めて休憩していたグラウソは、ムジカという男がギャングに襲われているのを発見。
グラウソはギャングを撃ち殺して、ムジカの命を救ってやる。
ムジカの本名はフランク・コスターといって、表向きは製薬会社を運営しているが、裏では酒の密輸入や軍事兵器の売買を行っていた。
それからグラウソはムジカの為に殺しを請け負うようになった。
ラッキールチアーノ
1930年代に入るとグラウソはニューヨークでラッキー・ルチアーノのために売春宿を管理しているビッグディーツという男のパートナーとなっていた。
売春宿を共同で管理し始めてしばらくした頃、マンハッタンのミッドタウンにある喫茶店でルチアーノに会う機会が。
その時の事をこう振り返る。
「ラッキールチアーノ、彼は雌犬の息子でした。
彼はキャットハウス(売春宿)を乗っ取っろうとして、マダム(売春宿オーナー)は怒っていた。
ラッキーはクレイジーだった。
私は彼のようにはなれなかったよ」
ルチアーノは喫茶店で、グラウソとディーツに5つの売春宿を定期的に訪れ、マダムから保護料を取り立てるようにと指示した。
さらにグラウソはこんなエピソードを明かした。
1935年に特別検察官に任命される以前、私立弁護士だったトーマス・デューイは、ルチアーノ傘下の売春宿を経営していたマダム・コーリーと恋愛関係にあった。
それだけでなくルチアーノも当時コーリーを好きだったという。
「私たちはデューイに弁護士として売春宿を保護するように頼みました。
デューイはコーリーを守るために戦うつもりだった。
だがコーリーにとってラッキールチアーノは愛人でもあった。
コーリーは決心できなかった。」
そもそも、なぜグラウソはデューイをけしかけルチアーノと戦わせようとしたのでしょうか?
ルチアーノの売春宿を管理する傍らグラウソとディーツは、ルチアーノに隠れて酒の販売とヤミ金融で余分に稼いでいた。
ルチアーノに見つかれば殺されると知りつつもグラウソは副業を辞められなかった。
そしてある夜、グラウソとディーツがニューヨーク州トロイの売春宿に車で向かったとき、数台の車が彼らを追いかけてきて道をふさいだ。
銃撃戦となったがグラウソは銃持っておらず参加できなかったという。
ディーツは射殺され、ヒットマンの1人が銃をグラウソの頭にかざしたが銃が詰まり、グラウソは逃げることができた。
ダッチ・シュルツへ鞍替え
グラウソは、ダッチ・シュルツの部下で競馬とナンバーズ賭博を担当しているオットー・バーマンに会い、ダッチシュルツの組織で働かせてもらえる事となった。
バーマンは映画「ビリーバスゲイト」にも登場していましたね。
グラウソはシュルツのためにナンバーズ賭博の運営を手伝い始めた。
当時の事をこう振り返る。
「シュルツはハーレムを制圧するために多くの黒人を殺した。
シュルツは実際には身長が約5フィートしかないため、何年にもわたって、シュルツが背の高い俳優によって映画に描かれているのを見ると、いつも面白いと思っていたよ(笑)
まず第一に、彼は安っぽかった!
ズボンが2足あれば充分で、新しいスーツを買うこともなかった!
でも馬鹿にしたらすぐ殺されると思っていた」
ここまで話してグラウソは一言付け加えた。
「でも部下にはとても気さくでした」
人生の転機
グラウソはシュルツの為に殺しも行っていた。
あるとき殺しの途中に足にひどい刺し傷を負ってしまう。
グラウソはシュルツに数ヶ月の休暇を求め、故郷に戻った。
数か月後の1935年、ラッキールチアーノの命令を受けた殺人株式会社によりニュージャージー州のレストランでダッチ・シュルツは射殺された。
その後もビッグハリーという名前のシュルツの部下の一人が銃撃されるなどの事件が続き、グラウソはニューヨークに戻らないように警告された。
「私はみんなに追われる立場となっていた。
シュルツの腹心はみんな殺されたよ」
その後グラウソは細々とした高利貸しやギャンブル事業を行いつつも隠れて暮らし、第二次世界大戦中は軍の将校の運転手として働いた。
戦後はクラフトの工場で働き始めたが、完全にギャンブル事業と縁を切ることは出来ず、工場内で細々としたナンバーズ賭博を行って小銭を稼いでいた。
以上はあくまでもグラウソが話した事なので、信じるか信じないかはあなた次第です!