落合信彦のマフィア本 アメリカの狂気と悲劇 をレビュー
アメリカの狂気と悲劇
こんにちは!今日は、書籍「アメリカの狂気と悲劇」を紹介していきます!
本書は、落合信彦氏が取材を元にアメリカの暗部を描いた取材記。
三部構成になっており、第一部ではKKK(クー・クラックス・クラウン)が第二部ではスラム街の黒人ギャングが、三部ではイタリアマフィアが描かれます。
ちなみにKKKは黒人排除運動の他にも、禁酒法を推進する活動もしていたんですよ。
内容
本書ではコミッションとは別の〝シンジゲート〟というより大きな犯罪組織がある。という説をといています。
この説によると、マイヤー・ランスキーとジョニー・トーリオはラッキー・ルチアーノのバックアップのもと人種に捕らわれない世界的な犯罪組織の結合体を作った。
これはコミッションとは全くの別物で、マイヤー・ランスキーが仕切っていた。
多くのマフィアのボスは、コミッションとシンジゲートを掛け持ちしており、この事からコミッション内に〝シンジゲートに属している派〟と〝属していない派〟が生まれ、対立の原因となった。
というような事が解説されています。
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確かにフレンチ・コネクションに見られるような世界的な犯罪組織の繋がりはあったと思われますが、果たしてこの本の説が全て正しいかというと、少々疑問が残ります。
この本は取材記であり、〝シンジゲート説〟をを証言する人物も登場します。
※もちろん1981年に書かれたので、情報不足も仕方がないのですが。。
その他に興味深い説は、マーダーインク(殺人株式会社)を設立したのはコミッションではなくシンジゲート(ルイス・バカルターの発案)で、シンジゲートに従わない者達を処刑する為に作られた。というもの。
基本的にこの本で語られるシンジゲートの行った事は、全てコミッションもしくはマフィアが行ったとされているものばかりで、シンジゲートのメンバーとして語られる人物もコミッションメンバーばかりなので、やはり
コミッション=シンジゲート=マフィア
なのではないかなと、私は思います。
書籍によってはコンビネーションという記載をしている場合もありややこしいのでご注意!
ちなみに、コミッションの議長を勤めたのは、ランスキーと言われており、その他のユダヤ系マフィアもコミッションの会議に参加できたので、本書に書かれているほどコミッションは懐の浅い組織ではありませんでした。
コミッションは、キューバ進出を決定した事や、イタリアに出向いてピザ・コネクションを作り上げた事で知られています。
ここまでのまとめ
シンジゲート説とは、イタリアマフィアのボスの集まりであるコミッションよりも大きな世界中の犯罪組織を支配するシンジゲートがある。
コミッションの功績とされているものは本当はシンジゲートの功績。
議長はマイヤーランスキー。
ランスキーの存在
恐らく、このシンジゲート説が出来たそもそもの理由はマイヤー・ランスキーの存在が原因です。
イタリア系ではなく、マフィアの正式な地位にもついていないマイヤー・ランスキーがなぜそれほど力を発揮したのか。
これについて私は、〝ランスキーはマフィアを操り力を発揮したが、目立つ事を嫌ったから〟だと思います。
もし、ランスキーがルールを変えて初のユダヤ系のイタリアマフィアのボスになろうとしたら、いずれ消されてしまう事は間違いありません。
ランスキーはマフィアのファミリーほどの組織を持ってはいませんでしたが、時にはフリーランスのように、時にはアドバイザー、時には友人としてイタリアマフィアの共生していた。というのが真相ではないでしょうか。
ちなみに、この本の一部と二部では当事者のKKKと黒人ギャングに直接取材をして話を聞いているので、かなりリアルなエピソードが記載されています!
ありがとうございました!
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