アルカポネとしだれ桜
アルカポネとしだれ桜
ボルチモアにあるユニオン記念病院。
この病院の自慢の一つは日本のしだれ桜。
この桜の木を病院に寄付したのはあのギャングスター アルカポネだった。
釈放されたカポネ
脱税で逮捕されアルカトラズ刑務所に収監されている間にカポネの梅毒は酷く悪化していた。
その為、家族は刑務所職員から「釈放されたらしっかりと治療を受けさせるように」と助言を受ける。
1939年11月16日の早朝。
フィラデルフィアのルイスバーグ刑務所で釈放されたカポネは家族に連れられてジョン・ホプキンス病院へと向かった。
しかし〝大悪人カポネ〟は悪い影響を及ぼすとして入院を断られてしまう。
そこに救いの手を差しのべたのがユニオンメモリアル病院。
カポネは1939年11月に入院。
担当医は梅毒学者のジョセフE.ムーア博士で、懸命な治療が施されることに。
カポネは病院で8週間治療を受けた後退院。
しばらくは近くに滞在して定期的に治療を受け続けた。
カポネとの別れ
ジョセフ・E・ムーア博士は、「この病気は、彼が徹底的な治療を受けてもまだ完治しない。さらなる医療が必要である」と述べ家族に病院の近くに留まるようにアドバイスした。
カポネと同居していた妻メエや母親はアドバイスに従いカポネに治療を受けさせ続けた。
その結果、カポネは家族の助けを借りれば外を散歩出来るまでに回復した。
すると家族とカポネは暖かいフロリダで治療する事を考え始める。
そして1940年3月家族は秘密裏にカポネを車に載せフロリダへと向かった。
フロリダまでは28〜30時間かかる長い道のり。
フロリダ行きを後から知らされたムーア博士は「長旅で彼の体調はかなり弱っているかもしれない。ゆっくり休ませるように。
今のところ、彼を肉親以外の誰とも接触させてはならないよ」のアドバイスを送った。
カポネの恩返し
ムーア博士の広い心に心底感服したカポネと家族は感謝のしるしとして2本のしだれ桜を病院に寄付した。
一本は工事で伐採されてしまったものの、もう一本は今も健在で多くの人に大切にされている。
ちなみに伐採された木も加工され芸術作品に姿を変え大切に保管されている。
どんな悪人にも分け隔てなく治療を施したムーア博士とカポネのエピソードは、これからも病院の伝説として語り継がれて行くだろう。