ゴッドファーザー消滅の危機
ゴッドファーザー消滅の危機
ゴッドファーザーとは何かご存知だろうか?
真っ先に思い浮かぶのはあのマフィア映画だが、実際には“名付け親”という意味である。
人生は大変だから父は二人いたほうがよい、という理由から産まれたとされるゴッドファーザー制度。
日本人には馴染みがないがイタリア系にとってゴッドファーザーは実の父も同然なのである。
映画「ゴッドファーザー」でヴィト・コルレオーネが歌手のジョニー・フォンテーンの面倒を見ていたのも名付け親だからだ。
ちなみにソニーのゴッドファーザーはクレメンザです。
ところがゴッドファーザーという言葉は近いうちに死語となってしまうかもしれない。
ゴッドファーザー禁止令
シチリア カターニアのカトリック教会の指導者たちは洗礼式での名付け親制度を禁止することに決めた。
その理由は「ゴッドファーザー役割は神聖なものというよりも、不愉快なものであるという懸念があるから」だそうだ。
平たくいえばマフィア達がゴッドファーザーになり街で幅をきかすのを防ぐためである。
ゴッドファーザーの今後は?
カターニアの宗教指導者は今月、洗礼式での名付け親の指名を3年間禁止することを発表した。
ニューヨーク・タイムズによると多くのマフィアが地元の権力者の子供のゴッドファーザーとなっているそうだ。
“ゴッドファーザー”達は金を稼ぐ事よりも“ゴッドファーザー”として尊敬される事を最も重要視していると言われていいるくらいなので、さぞかし落胆していることだろう。
また、シチリア地方の司教や司祭はこう見解を示している。
「現在は主に世俗的な習慣が組織犯罪を増長させる可能性があるという懸念を共有している」
また、カターニアの副総督であるサルヴァトーレ・ゲンチ氏は、今回の禁止令について独特な意見を述べた。
「私は15人のゴッドファーザーであるが、これほど多くの責任をこなすのは大変だ」
カターニアのサン・マリア・イン・オグニーナ教会のアンジェロ・アルフィオ・マンガーノ牧師のコメントはこうだ。
「社会的な恐喝や高利貸しにその地位を利用することもある怪しい人物からの教区司祭に対する脅迫に対処する必要がなくなったため、今回の禁止令を承認した」
これはシチリアマフィアの営業部が弱まったことを示唆している。
最後に元シチリア大統領のサルバトーレ・カッファロ氏がコメントを出した。
カッファロ氏は20人ほどのゴッドファーザーであり、かつてマフィアのドンを違法な手段で政府の監視下に置いたことを密告され5年間服役したことがある人物だ。
「一部の神父がどう思おうと、私は洗礼を受けたすべての子供たちに注意を払っている。
それにマフィアが実際にゴッドファーザーをしているのは見たことがないよ。
仮にいたとしてもだ。
それは宗教上の繋がりであり、違法行為ではない」
果たしてゴッドファーザーは今後どうなってしまうのか。。