ジェームズ・カーンを偲んで
ジェームズ・カーンを偲んで
ジェームズ・カーンは『ゴッドファーザー』でドン・ヴィトー・コルレオーネの長男、ソニー・コルレオーネを演じた俳優である。
カーンの他にも今年は名俳優が多くなくなっている。
『グッドフェローズ』のレイ・リオッタと『ソプラノズ』のトニー・シリコだ。
奇しくも三人とも、マフィア作品で名を馳せた人物である。
前置きが長くなったが、今回はジェームズ・カーンに焦点を当て、知られざるエピソードや、彼を知る人のコメントを紹介していきます。
遺志を継ぐ
ブロンクス生まれで、ユダヤ系移民の息子であるカーンは、ゴッドファーザーで役を演じるにあたり、ある人物をモデルにした。
その人物とは、コロンボファミリーのボス、カーマイン・“ザ・スネーク・”ペルシコのいとこであるアンドリュー・“マッシュ・”ルッソ。
他にもカーンは、ニューヨークで知り合ったマフィア達から話をきき、約作りの参考にしたそうだ。
カーンの素晴らしい演技は、リアルマフィア仕込みだったと言うわけである。
カーンは、その演技で、イタリアン・オブ・ザ・イヤーを2回受賞した。
その際、彼はこうコメントしている。
「私はイタリア人ではないよ」
アドリブの達人
撮影中、カーンはマフィアの他に、コメディアンのドン・リックルズを参考にしたとも語っている。
リックルズは、映画「カジノ」で、ホテルマネージャーを演じていた人物である。
カーンは、早口で威勢の良いドン・リックルズの話し方が、マフィアに近いと感じ、真似したそうだ。
カーンとの思い出
作家のマーク・シールは、カーンとのこんな思い出を披露した。
「2008年にビバリーヒルズの彼の自宅で初めて直接会ったとき、彼の壁にアーティストが描いたコルレオーネ3兄弟とドンの絵を見たのを覚えている。
その日もその後も何時間も話しましたが、それは彼がスクリーンの中でソニー・コルレオーネにいかに生き生きと、そして激しく命を吹き込んだかを知る上で非常に重要なことでした。
カーンは、ホフストラ大学の同級生であるコッポラが映画に残したシーンを即興で作るほど、このキャラクターにのめり込んでいった。
その中には、カーンが “バダ・ビン “というフレーズをアドリブで使う場面もある。
ソニーは「こうやって近づいて、バダバダとやらなきゃいけないんだ」と言う。
この言葉は、すぐにマフィアやマフィア志望者の決め台詞になった。
ルッソの話
ゴッドファーザーの出演者の一人、ジャンニ・ルッソは、少なくともカーンの即興の腕前には感心していなかったようだ。
ルッソはソニーの妹コニーの夫カルロ・リッツィを演じである。
カーンの死後のインタビューでルッソは、彼がほうきの柄を投げつけるなど脚本から逸脱し、撮影中にひどく殴られて肘が欠け、肋骨に数本ヒビが入ったことを回想している。
ルッソの回顧録『ハリウッド・ギャングスター』によると、カーンは以前、マンハッタンのナイトクラブ、ジリーズでマフィアたちの前でルッソが恥をかくよう仕向けたという。
また、長年にわたって、2人の仲は決して良くなかったとルッソは語っている。
懐かしい思い出
映画でポーリー・ガットーを演じたブルックリン生まれの俳優、ジョニー・マルティーノは、ネットでカーンの訃報を目にしたという。
彼はこう語った。
カーンは一時期、薬物乱用に苦しみ、暴力行為の疑いで警察沙汰になったこともある。
カーンが脚の問題で車いすを使っていることは知っていたが、この俳優が人生の終わりに近づいていることは知らなかった。
また、こんな思出話を披露してくれた。
「彼とブランドは時々、冗談を言い合っていたよ
撮影現場で、カーンが近くにいたとき、ブランドはズボンを下ろした。
カーンも、走行中の車からブランドと一緒にお尻を出していました」
それから彼はこう締めくくった。
「本当にエキサイティングだった」