三分で学ぶ アルカポネ シカゴ戦争編
三分で学ぶマフィア暗黒史アルカポネ編part2
目次
part2です。
シカゴのビール戦争
実はトーリオは禁酒法施行前に、シカゴにいる数多くのギャング達を召集し、縄張りをきちんと決めていた。
密造酒ビジネスが金を生めば生むほど、誰もが縄張りの拡大を考えると見抜いていたからだ。
が、しかし今や取り決めは無視されようとしていた。
ギャングの争いはシカゴを戦場に変え、いたるところで手榴弾や散弾銃が使用されるように。
そんな中、一際恐れられたギャング団がいた。
それは〝地獄のジェンナ〟。
〝ジェンナ兄弟〟とも呼ばれるシチリア人の6人兄弟で、理不尽なほど狂暴な事で知られていた。
ジェンナ兄弟は、工業用アルコール販売の認可を政府から得ていた。
そして貧しい家庭に僅かな賃金を支払い、風呂場で工業用アルコールから密造酒を作らせ、売り捌いていた。
工業用アルコールを使って、風呂場で造った酒はもちろん有害でした。
時には死んでしまう人もいたとか。
が来るっているのはジェンナ兄弟だけではない。
オバニオンは恐れ多くも、ジェンナの酒を盗んで売るというビジネスを思い付いたのだ。
大戦争になりかけたが、トーリオの仲裁でなんとかそれは回避された。
しかしオバニオンは「シチリアの糞どもはくたばればいい!」と言い振らし続けていたという。
この頃からシカゴには不穏な空気が漂い始めていた。
ラッキールチアーノはシカゴに来た事をこう振り返っています。
「なんてクレイジーな街だ。通りに出たら命の保証はない」
ダイオン・オバニオンの引退
オバニオンはとにかく厄介者だった。
なので、オバニオンが「引退したいんだ。だから醸造所を買い取ってくれないか。」と申し出た時、トーリオは喜び二つ返事で了承した。
しかし買い取った途端に醸造所は警察の手入れにあい、トーリオは逮捕されてしまう。
引退の話はオバニオンの罠だったのでした。
この事をオバニオンに問い詰めたトーリオは、信じられない言葉を耳にする。
「ほんの冗談さ!逮捕されたらおもしろいと思ってな」
遂に我慢が限界に達したトーリオは、ジェンナ兄弟と協力してオバニオン暗殺することに。
実行犯は、ニューヨークからまたも呼ばれた フランキー・イエールとジェンナ兄弟が務めた。
1924年11月10日、オバニオンが店先で花束を作っていると、3人の男が来店した。
男の一人はこう依頼した。
「奥さんに浮気がバレてしまってな。仲直りできるような花束を作ってほしいんだが」
これにオバニオンは
「まかせな!俺の花束は天下一品さ!」
と応じた。
そして男の一人が手を差し伸べ、二人は硬い握手を交わした。
だが、、
「おい、離せよ!」
男がオバニオンの手を握って離さないのだ。
これにいら立ったオバニオンは男を殴りつけようとしたが、それより早く三人が銃を抜いた。
喉に銃弾を受け倒れるオバニオン。
息ができずもがく彼を見下ろすと、三人の男は頭部に弾丸を打ち込んだ。
オバニオンが花屋で作業していると、イエール達が入ってきてオバニオンを引退させた。
ちなみに、この時代のシカゴギャングの平均寿命は27才で、オバニオンは享年32才なので長生きした方だったのでした。
オバニオンの弔い合戦
オバニオン殺害を受けて、彼を慕う部下、ハイミー・ワイス、バグズ・モラン等が復讐を誓う。
オバニオンは意外と面倒見がよく、部下から慕われるボスだったのです。
オバニオンの跡を継いでボスとなったのはハイミー・ワイス。
ちなみにワイスは、オバニオンと同じく意外な趣味を持っており、読書と子供と遊ぶ事が大好きでした。
彼らが報復するという噂が広まると、トーリオはカポネに後を任せて各地を転々とするようになる。
またカポネもボディーガード無しでは出歩かなくなったし、自宅でカーテンを開ける事もなくなった。
そして恐れた通り、壮絶な復讐が始まる。
まず、ジェンナ兄弟の長男が殺害された。
その翌月には次男が殺され、ジェンナ兄弟は離散。
そして、次にワイスはトンプソンマシンガンでカポネを襲撃する。
彼らはカポネが食事をしているレストランの前に整列すると、ありったけの弾丸をレストランに打ち込んだ。
が幸いカポネはいち早く伏せており、暗殺は失敗に終わった。
これが、ギャングがトンプソンを使った最初の事件と言われている。
映画ではカポネが最初に使用したように描かれているが、本当は襲われた側だったのです。
さらに怒りの収まらないワイスは、カポネの運転手を誘拐し殺害。
さらにさらに、シカゴへに持ちを取りに戻ったトーリオを襲撃する。
トーリオが自宅前で車を降りると、二人の男が駆け寄ってきて発砲。
トーリオは首や股間を撃たれた。
血だまりに沈むトーリオ。
しかし、殺し屋達はそこでタマ切れをおこしてしまい、とどめを刺すのを諦めて逃走した。
おかげでトーリオは一命をとりとめたが、カポネを病室に呼びこう伝えた。
「俺は引退するよ。後のことはお前に任せる」
そして今後はアドバイザーとして、ボスとなるカポネを支えることを約束した。
ですが、この暗殺未遂は実はカポネが黒幕という説もあります
帝王カポネ
カポネがボスになってから、しばらくは平穏な日々が続いた。
だがシカゴでそれに甘んじていたわけでもない。
この頃、カポネはフランキー・イエールのライバルを抹殺するべく、アルバート・アンセルミ、ジョンスカリーゼの二人を連れてニューヨークへ。
銃撃戦の末にホワイトハンドと呼ばれるギャング四人を射殺した。
この事件は〝アドニスクラブ大虐殺〟として知られている。
その他には社交界に進出したり、新聞のインタビューに応じたりもしている。
この頃からカポネはコカインを常用するようになり、奇行が目立つようになっていく。
ある日の晩、カポネは経営するバーの窓から通りを眺めていた。
すると信号待ちで止まっている車に目が留まった。
中に乗っていたのはライバルのギャングとシカゴの検事。
ギャングは検事を接待しているところだったようだ。
それを見た瞬間、カポネは思った。
「俺のシマに入りやがって!」
そしてバーカウンターの下からマシンガンを取り出すと外へ飛び出し、車をハチの巣にしてしまった。
この一件で、カポネは指名手配されることに。
逮捕を逃れるため、シカゴから200マイルほど離れたランシングに身を寄せた。
逃亡中のカポネ
ランシングへ時同行したボディーガードは、フランク・ニッティとマシンガン・マクガーン。
カポネはここで市民に多額の寄付をして英雄となり、紳士的な振る舞いで皆に好かれた。
市民もカポネの逃亡を手助けして、持ちつ持たれつの関係。
住民の一人はカポネについて「子供達にまっとうに生きろと説いていた。 老人達もカポネのお陰で施設の世話にならずにすんだ 」と語っている。
また、ランシングでのカポネについては、「貧しい家庭の花嫁にウェディングドレスを買ってやった」「近所の子供たちに慕われていた」など多数のエピソードが。
さらに警察にも賄賂を渡していたので、カポネはリラックスしてバカンスを楽しむことが出来たという。
だが時がたつとカポネは、シカゴにいる家族に会いたいと寂しがり、やがてシカゴへ戻る事を思案し始める。
それには自首する意外、道はなかった。
ハイミー・ワイス再び
自首したカポネは無罪を主張し、法廷で争った。
裁判中もカポネは、シカゴの隣街を制圧するため殺し屋を送り込んで、そこのボスを殺害するなど精力的に活動する。
そして続けざまに、ハイミー・ワイスを襲撃。
これは失敗に終わり、反撃を受けることになる。
暗殺失敗から六週間後、ワイスはカポネのアジトに弾丸を打ち込んだが、こちらも失敗した。
ワイスとの決着を望んだカポネは、和解を申し入れるも決裂。
和解が不可能と知るとカポネは手下に、オバニオンの花屋(ここがワイス達の拠点になっていた)の向かいのアパートに部屋を借りさせた。
そして殺し屋達はワイスが現れると、部屋の窓からマシンガンを連射。
ワイスと手下は蜂の巣にされた。
ワイスを始末したカポネは、次にシカゴのギャングを召集して会議を開く。
そこでカポネはこう述べたという。
「我々はせっかくの大事業を射的場に貶めている。
ビール業界にはみんなの取り分があるのに、なぜ殺し合わなければならないのか!」
続けてカポネは、全員に家族がいる事、自分にも息子がいる事を力説。
シカゴのギャング達にに平和協定を結ばせることに成功した。
その後、一年は平和協定が守られることとなる。
フランキーイエール暗殺
そんな折、カポネは古くからの友人であり師匠だったイエールが、輸送過程で自分の酒を盗んでいる事を知る。
信じていたイエールに裏切られたカポネは、マシンガン・マクガーン、アルバート・アンセルミとジョン・スカリーゼの三人を送り込んだ。
アンセルミとスカリーゼは、ジェンナ兄弟の部下でオバニオン暗殺にも荷担していました。
バットで撲殺されるコンビとしても有名です。
イエールが事務所にいると電話が鳴った。
受話器の向こうにいたのは女性。
彼女は慌てた口調でこう告げた。
「奥様が事故で、、病院に運ばれ手術を受けています」
イエールは慌てて車に飛び乗り病院へ向かう。
だがこの電話は嘘であった。
イエールが運転していると、怪しげな車が後ろに付いた。
そして、車から身を乗り出したマクガーン達がマシンガンを乱射。
撃たれたイエールは車ごと民家に突っ込み死亡した。
イエール暗殺は、ニューヨークで初めてトンプソンマシンガンが使われた事件となった。
次回の更新スケジュールは以下の通りです!
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