トーマス・エボリ

トーマス・エボリ

トミー・エボリ

トミー・エボリの生い立ち

1911年、トミー・エボリはイタリアのナポリ郊外で誕生した。

間もなくアメリカへ移住。

10代になるとヴィト・ジェノベーゼの元で、賭場の管理や用心棒の仕事を始めた。

1931年、20才の時にはニューヨークのマフィア大戦“カステランマレーゼ戦争”が勃発。

戦争が終わるとヴィト・ジェノベーゼの右腕として、共にルチアーノファミリーへ加入した。

ルチアーノファミリー時代

1940年代になるとエボリはボクシング興行に進出。

数人のボクサーのマネージャーを務めた。

1952年1月11日、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたボクシング試合では自陣のボクサーに不利な判定をしたレフリーに襲いかかり、60日の禁固刑を受けたこともある。

エボリはこの事件のせいでボクシング界から追放されてしまった。

また、この頃にはイタリアへ強制送還されたファミリーのボス ラッキー・ルチアーノとジェノベーゼの連絡役を勤めたという。

エボリは定期的に弟のパットと共にイタリアへ飛んでいた。

しかし、ルチアーノはアンダーボスであるジェノベーゼに不信感を募らせており、エボリに冷たく接したそうだ。

やがてルチアーノがファミリーから引退すると、エボリとルチアーノの関係も終わった。

憧れのフォートリー

ボクシング界を追放されたエボリはナイトクラブ、ゲイ・バー、ジュークボックスなどで財を築き、その元手でレコード会社を立ち上げた。

さらにレコード会社が軌道に乗るとタバコ自販機のビジネスに参入。

暴力により他者の自販機を排除することで、巨万の富を得た。

誰からも一目置かれる金持ちになったエボリは兼ねてから欲しかったものを購入する。

それはニュージャージー州フォートリーの高層マンション。

ここにはアルバート・アナスタシア、ジョー・アドニスなどマフィアの大物が居住しており、エボリは彼らと肩を並べたかったのだ。

ボスへの道

1960年、ヴィト・ジェノヴェーゼが麻薬取締法違反で刑務所に収監されてしまう。

ジェノベーゼ不在の間、彼は部下のトーマス・エボリ、ジェラルド・カテナ、マイク・ミランダの三人にファミリーを託すことにした。

三人をボス代理に指名したのは、誰かがファミリーを乗っ取ろうとするのを防ぐためである。

三人の中でトーマス・エボリは最も若いマフィアだった。

そのためエボリの意見はあまり採用されず、主にカテナが指揮をとった。

ジェラルド・カテナ

一方エボリは、自身のジュークボックスメーカーを調査していたFBIエージェントを“逆指名手配”する紙を配布するという奇怪な行動に。

激怒したFBIがジェノベーゼファミリーを片っ端から検挙し、エボリはファミリーからも距離を置かれるようになっていった。

1969年、ジェノヴェーゼが獄死。

カテナは服役中で、ミランダは72歳。

そこでエボリは繰り上がり式にボスの座を手にした。

無能なボス

ファミリーのボスの座を得たエボリは保身に忙しかった。

自分のイエスマンで上層部を固めようと躍起になっていたのだ。

1972年、人事改革を終えたエボリは新しいビジネスを始めようと思い付く。

エボリはガンビーノファミリーのボス カルロ・ガンビーノに頼み込み軍資金400万ドルを調達。

400万ドルを元手に麻薬ビジネスに乗り出した。

その後まもなくして、取引相手のルイス・チリロが逮捕されてしまう。

チリロは25年の刑を言い渡され、金と麻薬は全て押収された。

出資したガンビーノはこの失態に激怒。

今すぐ金を返せと迫る。

エボリも逆ギレし、借金を踏み倒すと宣言した。

エボリの最期

1972年7月16日午前1時頃、エボリはブルックリンのクラウンハイツ地区にあるガールフレンドのアパートを出て行くところだった。

自動車に乗った時、殺し屋が現れ、エボリの頭と首を5発の弾丸を撃ち込んだ。

アパートから出るまで待ったのは、殺し屋の情けだった。

殺し屋が去ったあと、駆けつけたボディーガードのスターン・フェルドは、エボリを病院に運ぼうと試みた。

しかしエボリが息絶えたことに気がついたフェルドは、彼を路上に放置したまま逃走した。

その後のジェノベーゼファミリー

検視の結果、5発の弾丸は顔の左側と首に命中していた。

また、火傷があったことから、犯人はかなりの至近距離で発砲したものと思われる。

警察は逃走車と思われるトラックが止まっているのも発見していた。

車内にはサイレンサー付きの45口径サブマシンガンが残されていた。

翌17日、ブルックリンのフォスター・アベニュー警察署にスターン・フェルドが出頭した。

警察は彼を重要参考人として一晩拘束。

ニューヨーク・タイムズ紙はフェルドが銃撃事件に関して情報を提供したと報じたが、犯人が捕まることはなかった。

一方、カルロ・ガンビーノは400万ドルに値するものを得ていた。

ガンビーノはエボリを殺害すると、後任のボスに仲の良い フランク・・ティエリを指名。

ジェノベーゼ・ファミリーを実質的に乗っ取ってしまったのだ。

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