チャイニーズマフィアシュリンプボーイ
シュリンプボーイ
サンフランシスコの犯罪組織のボス レイモンド‘’シュリンプボーイ’’チョウ。
彼の組織はいわゆるチャイニーズマフィアで、主にサンフランシスコのチャイナタウンを仕切っていた。
チョウは17歳の時にイタリア系マフィアの使い走りとして働き始め、ライバルを排除する事で出世。
チャイナタウンの王として知られていた。
しかし2016年1月8日、チョウは殺人、殺人教唆、盗品輸送、マネーロンダリングなど162の罪で有罪判決を受けてしまう。
検事長補佐のスーザン・バジャーは、陪審員にチョウをこう説明したという。
「冷酷で日和見主義。傲慢な凶悪犯。彼の生涯は嘘に満ちている」
潜入捜査
逮捕の決め手となったのは潜入捜査。
FBI捜査官はニューヨークのギャング、デビッド・ジョーダンとして組織に接触した。
ジョーダンはチョウに取引を持ちかけ成功。
その取引の一部始終は録音されることとなる。
ジョーダンは2008年から2014年まで潜入を続け、チョウの仲間が盗んだ酒とタバコの売買を行った。
また、彼らが稼いだ金を洗浄するのを目撃したという。
FBIはジョーダンがやり手のギャングっぽく見えるように多額の資金を投入。
100万度ドル以上の税金がサンフランシスコの高級バーやレストランでチョウと子分が食事をするために使用された。
ジョーダンの証言
法廷ではジョーダンが危険にさらされぬよう様々な配慮がなされた。
証言中に顔を見られないようにするために、検察官はスクリーンで証言席を囲った。
この裁判では他にも多くの関係者が起訴されることに。
その内の1人は、カリフォルニア州上院議員のリーランド・イー。
民主党員でありながらギャングを使って国際的な銃密売を行っていた。
さらに金銭を受け取ってギャングに便宜を図ったことも明らかにされた。
その後、イーは辞任して弁護に転身したが後に有罪判決が下っている。
飛び火する裁判
この裁判がきっかけで他にも多くの政治家が逮捕されることになった。
エド・リー市長はが潜入捜査官から金を受け取り、資金を洗浄した罪に問われたものの不起訴。
サンフランシスコの人権委員会のズーラ・ジョーンズは政治資金規正法違反で起訴。
同じく人権委員のナズリー・モハジャーはギャングから選挙資金を受け取ったことで起訴。
エイモス・ブラウン牧師は便宜を図る見返りに無料で家を建てて貰った疑いで起訴。
市の統治委員会の会長であるロンドン・ブリードは、市との工事契約を売りさばいた疑いがあったが不起訴。
市交通局のスルラギ・パレガはチョウに拳銃を売却した事で、職を追放された。
チョウ自身は2019年に上訴したものの棄却され、今も刑に服している。
仮釈放は早くとも2030年以降になりそうだ。