映画「レイジングブル」のその後 ジェイク・ラモッタとマフィア
映画「レイジングブル」のその後
ジェイク・ラモッタとマフィア
こんにちは!
今回は映画「レイジングブル」の主人公ジェイク・ラモッタとマフィアについてです。
レイジングブルはマフィア映画ではありませんが、スコセッシ監督の作品で、ロバートデニーロ、ジョー・ペシなどマフィア映画の常連が多数出演している事から、ご存じの方も多いと思います。
作中で描かれたようにデニーロが演じたジェイク・ラモッタはマフィアとも関わりを持っていました。
まずはマフィアとの関連の前に、ラモッタ自身の生い立ちも興味深いでので、少し紹介していきます。
ラモッタの生い立ち
ラモッタは1922年7月10日、ニューヨークのローワーイーストサイドにシチリア移民の息子として誕生。
ラモッタがボクシングを始めるきっかけ、そしてラモッタの荒々しいファイトスタイルの原点は少年時代にあった。
ラモッタの父親は近所の子供達とラモッタを闘わせ、賭けを行った。
このミニ賭博はなかなか儲かり、ラモッタの家族はこの収入を頼りに暮らしていた。
ちなみにその頃、家族はブロンクスに移り住んでいました。
こうした家庭環境がラモッタのその後に大きな影響を与えた事は疑いようもありません。
その後、ラモッタは本格的にボクシングを習い始める一方、強盗で逮捕されるなど紆余曲折を得て映画の冒頭へと繋がっていきます。
マフィアとボクシング
1933年、禁酒法が廃止されるとマフィアは新しいビジネスを探し始めた。
その仮定で目を付けたのがスポーツ賭博などのギャンブル。
特にボクシングは一つの試合に選手は二人しかいないので容易に八百長を仕組む事が出来た。
1947年、伝説のボクサーであるジェイク・ラモッタは、ビリー・フォックスとの試合で八百長をするようマフィアに求められ、結果ラモッタはわざと試合に負けた。
映画でも描かれたようにラモッタはこの八百長の報酬として金銭は受け取らず、代わりにタイトルマッチを望んだ。。
波紋を呼ぶ八百長
ラモッタは八百長試合に至るまで、22試合のうち19試合で勝利し、そのうち9試合はノックアウトと、恐ろしいほどの強さを誇っていた。
しかし、この八百長試合の前には奇妙な現象が起きる。
オッズは完全に反転し、フォックスが大人気に。
あまりの人気にブックメーカーはフォックスへの賭けをやめ、試合の3時間前にはラモッタにしか賭けられないようになっていた。
その後、噂どおりにラモッタは八百長をやったが、やり方は下手くそで、試合を見た誰もが八百長を疑うことに。
ラモッタはボクシング協会や記者から厳しい追及を受けたが「八百長ではない」の一点張り。
結局ラモッタは真実を話さなかった。いや話せなかったのだ。
キーフォーヴァー委員会とラモッタ
八百長試合の真実が告げられるまでには、13年かかりました。
1960年、テネシー州上院議員エステスキフォーバーは、プロボクシングに対するマフィアの影響力を調べており、その過程でラモッタを公聴会に召喚。
公聴会で、ラモッタはフォックス戦の八百長について洗いざらい語った。
当然、マフィアとの関連を話せば命の危険すらあったがラモッタはボクシング界の為に話すことを躊躇わない。
「それが唯一の方法でした。私がタイトルを獲得する為の唯一の方法。誰も私にチャンスを与えない。無冠のチャンピオンとしての5年間はタイトル戦に値していたのに。だから私は必要なことをしました。」
ラモッタの証言は、ボクシング界の悪しき習慣を修正し、マフィアと決別するために多いに役立った。
一方、八百長を仕組んだマフィア フランク・パレルモも公聴会に呼ばれたが、証言を拒否し続けた。
パレルモのパートナーはフランキー・ガルボという男。
ガルボはルッケーゼファミリー所属のマフィアで、元はマーダーインクの出身。
ボクシング界を牛耳る男として知られていました。
つまり映画に登場するトミーのモデルはガルボだったのです。
ちなみに〝トミー〟という名前はボスのトーマス・ルッケーゼからとったのではと思っています。
八百長相手フォックスも公聴会に呼ばれ嫌々やらせた事や、彼等に搾取された事について暴露した。
そして〝ボクシング界を救った男〟とまで呼ばれた勇敢なラモッタは、2017年に95歳で亡くなりました。
余談 聖バレンタインの虐殺
1951年2月14日、シカゴで行われた六回目のラモッタとロビンソンの試合でラモッタはこれ以上ないほど激しく打たれた。
映画でもラモッタの激しい出血ぶりとそれでもダウンしない姿に困惑するロビンソンが描かれていましたね
この試合はアルカポネ一味が敵対ギャング7人をマシンガンでなぎ倒した〝聖バレンタインの虐殺〟になぞらえて〝ボクシング版聖バレンタインの虐殺〟と呼ばれています。
こちらは実際の〝ボクシング版聖バレンタインの虐殺〟の映像。
実際の凄まじさを感じつつも、スコセッシ監督がいかに映画的に描いたかもわかります。
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