刑務所に入りたかったマフィア
刑務所に入りたかったマフィア
ルイス・マナは1970年代からジェノヴェーゼファミリーのメンバーとなり、コーヒーショップを拠点にギャンブルやヤミ金で稼ぎをあげていた。
やがてマナはニュージャージー州犯罪調査委員会に召喚される。
だが「私は誰とも話しません。SCI、CIA、誰ともね。
話すくらいならずっと刑務所にいるよ。(この時服役中だった)」と話し法廷侮辱罪で刑期を追加された。
1980年代にはファミリーのコンシリエーレ(相談役)へと出世。
名実ともに大物となったのだった。
しかしマナはこの程度の成功では満足しなかった。
ゴッティ暗殺
1989年、マナはガンビーノファミリーのボス ジョン・ゴッティを殺害しようと計画を建てた。
当時、ゴッティは誰よりも力を持ったマフィアで、彼の殺害は彼の天下を奪うことと等しかった。
時を同じくして、警察はマナがビジネストラブルを解決するためにアーウィン・シフという男を殺すようにヒットマンに命じた事実を掴んだ。
その後シフは殺害されてしまい、警察はこの事件について証拠を集めるべく、あらゆる場所に盗聴機をしかけたのだが、そこでゴッティ暗殺計画の存在も掴んだのだった。
マナ「まあ、私たちはゴッティの後ろで立ち往生しているだろう。やるしかない。やるしかない」
暗殺計画を知った警察はゴッティに警告を発し、さらにマナをシフ殺害の容疑で逮捕。
これはマナへの死刑宣告のように思われた。
逮捕されたマナ
1988年8月 マナは有罪となり80年の刑を宣告される。
シャバにいてもゴッティに殺害されると考えたマナは刑をあっさりと受け入れた。
起訴を主導した連邦検事補マイケル・チャートフは後に記者団に、「マナに下った80年の刑は国内で最も強力で経験豊富なマフィアのリーダーの1人を排除するのに充分な効果があった」と語っている。
出たくなった男
逮捕から2021年現在まで、マナは32年以上連邦の管理下にある。
しかし現在、マナがマフィアの報復以上に恐れているものがある。
それは刑務所で起こったコロナのクラスター。
91歳となり、二度の癌、高血圧とパーキンソン病を患っているマナにはウィルスは大きな驚異だったのだ。
そんなわけでマナは弁護士を通して仮釈放申請を行った
マナの弁護士であるジェレミー・イアンドロは、ミネソタ州の連邦医療刑務所で「マナは刑務所にいれば近い将来、ほぼ確実に死亡する。
もう一度故郷に帰してあげてほしい。 彼の家族もマナの世話をする準備はできている。
体調不良の91歳の男性は社会の驚異になり得ません。」と話した。
仮釈放の行方
検察官は釈放に反対している。
「マナは刑期の半分も服役していない。
彼を早く釈放することは重大な前例となるでしょう?
検察官と裁判官は犯罪を犯すことを思いとどまらせる義務があり、マナを釈放することは〝どうせ出られる〟と思わせてしまう」と述べた。
一方別の検察官はマナについて「彼は健康常態を誇張して話している。
2054年まで刑務所にいるべきだ」 とドライなコメントを残した。
マナが釈放されたらインタビューを申し込みたいと思います