ミーンストリートとマフィア

ミーンストリートとマフィア

1973 年 10 月14日に公開されたマーティン スコセッシ監督の『ミーン ストリート』。

本作はニューヨークを舞台とした犯罪映画の古典とされている。

また、マーティン・スコセッシ監督と俳優ロバート・デ・ニーロの初のコラボレーション作品でもある。

彼らはその後、『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』、『カジノ』、アイリッシュマン』などの名作を手掛けることになる。最近では、『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』も。

そんな『ミーン。ストリート』の50周年に際してあの大物がコメントした。

大物とは『ミーン・ストリート』の1年前に公開された映画『ゴッドファーザー』の監督であるフランシス・フォード・コッポラ監督である。

監督は自身のインスタグラムにて、「80歳のスコセッシ監督は素晴らしい人物であり、存命する世界で最も偉大な映画製作者である」とした。

複雑な関係

『ミーン・ストリート』でデ・ニーロは高利貸しに借金を抱えた愚かな若者、ジョニー・ボーイを演じている。一方、ハーヴェイ・カイテルは、ジョニー・ボーイを見守ることで救いを求めながら、宗教上の罪悪感と戦うギャングの甥チャーリーを演じている。

映画の冒頭のナレーションによると、「教会では罪は償えない」。この一文はスコセッシ監督が考えたものであり、彼の考えを端的にあらわしている。

書籍「America: The Jesuit Review」によると、スコセッシ監督はニューヨークのローワー・イースト・サイドにある慈善姉妹団の助けで教育を受けたという。しかし一方でローワー・イースト・サイドはギャングやマフィアの巣窟であり、教育を受けたものの中には犯罪に手を染める者もいたのだ。

こうした宗教と犯罪の関係性は、その後の映画『カジノ』や『アイリッシュマン』などにも反映されている。

ちなみに、映画の終盤で若い女性テレサを助ける人物は、スコセッシ監督の母親、キャサリンである。

監督にとって愛してやまない、そして偉大な母親をその役に抜擢したのも、深いわけがありそうだ。

リアルなギャングたち

映画評論家グレン・ケニーの著書『メイド・メン:グッドフェローズの物語』の中で、スコセッシ監督は1940年代から50年代にかけてマンハッタンのリトル・イタリーで育ったことについて語っている。

「スコセッシ監督は、自分はシチリア人とナポリ人の閉鎖的なコミュニティで育った、

マフィアたちの間で何が起こっているのかを理解するのに何年もかかりましたと語った。」

これらの人格形成期に知り合ったマフィアの性格や生きざまが、 『ミーン・ストリート』を含む一連のスコセッシの映画のキャラクターに反映されているのだという。

例えばリトルイタリーでの質素な生活は「グッドフェローズ」のヘンリー・ヒルに。

落ち着いた振る舞いはポーリー・ヴァリオに、などである。

余談だが『グッドフェローズ』が公開されるずっと前に、ポーリーのモデルとなったポールは映画館で『ミーン・ストリート』を鑑賞していた。

彼はいたく感動していたという。

それから『ギャングスター映画究極の本』の著者ジョージ・アナスタシアとグレン・マナウは興味深い考察を示している。

『ミーン・ストリート』のシーンの多くは不気味な赤い光の中で撮影されている。

この照明は地獄のような世界を表現しているのかもしれない。」

あり得る話だろう。

そして現在もニューヨークのどこかではギャング達が地獄のような世界を生きている。

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