スピロトロとビニオン
スピロトロとビニオン
ドイル・ブランソン
プロポーカープレイヤーとして50年以上の活動するドイル・ブランソンは、ラスベガスのマフィア、トニー・”アント”・スピロトロから命を狙われたことがあるという。
スピロトロは、ラスベガスの伝説となっているマフィアだ。
マーティン・スコセッシ監督の「カジノ」では、ジョー・ペシが、彼を演じている。
スピロトロは、少なくとも20件以上の殺人を犯したと言われており、全盛期にはラスベガスの全てを暴力で支配していた。
ある日、そのスピロトロがブルンソンの元を訪れ、ポーカーの賞金の25パーセントを要求したという。
ブルンソンはなぜ、スピロトロに金を渡さなければならないのか尋ねた。
確かに正論である。
対してスピロトロはこう答えた。
「もし気に入らないなら、その太った腹にアイスピックを12本刺してやる」
だがブルゾンも負けなかった。
「全員を殺すことはできないぞ」
そう言ってやったのだ。
これにスピロトロはこう応じた。
「全員を殺す必要はないだろう。最初の一人を殺すだけだ」
こうしてスピロトロに死刑宣告されたブルゾンは友人のベニー・ビニオンに助けを求めた。
シカゴマフィアとビニオン
ビニオンは1970年に移住してきて、ラスベガスのダウンタウンにあるワールドシリーズオブポーカーを設立した人物。
彼はラスベガスに来る以前は、生まれ故郷のテキサスでマフィアのボスをしていた。
その頃、シカゴのマフィアは大統領選挙でケネディを勝たせるために、テキサスで票集めをしたいと考えていた。
だが、ビニオンに依頼しても、彼の組織は小さく、票をまとめる力はない。
それなら、ビニオンを打倒し、テキサスを乗っ取ろうとシカゴマフィアは考える。
その結果、激しい抗争が勃発。
当然、勝ち目のないビニオンは、ファミリーを解散し、ラスベガスに逃げ延びたのだった。
そんな因縁があり、シカゴマフィアを敵視していたビニオンは、シカゴマフィアのために働くスピロトロが、友人を恐喝するのを許せなかったようだ。
ビニオンは、ブルゾンの知らない所で、スピロトロに話をつけてくれた。
それ以来、スピロトロが、ドイルを恐喝することはなかったという。
ビニオン自身も興味深い人物なので、次回はそちらを特集していきます。