バナナ戦争とFBI

バナナ戦争とFBI

バナナ戦争とFBI

映画ゴッドファーザーのマイケル・コルレオーネのモデルとなったビル・ボナンノ。

父はヴィト・コルレオーネのモデル ジョゼフ・ボナンノ

彼らが引き起こしたバナナ戦争とFBIの陰謀とはー!?

はじめに

ジョゼフとビル

バナナ戦争とはジョゼフ・ボナンノとカルロ・ガンビーノの抗争のこと。

ジョゼフの息子であるビル・ボナンノ は1964年にボナンノファミリーのコンシリエーレに選出された。

二世が選ばれた事は波紋を呼び、ファミリーの分裂を招いた。

そしてビルに反対する勢力はガンビーノの後ろ楯を得て血で血を洗う抗争を始める。

そんなマフィア達の争いをFBIが放っておくはずもなかった。

FBIはボナンノファミリーの重要人物を情報提供者に仕立て、戦況を逐一把握していた。

その重要人物とは。。

ボナンノファミリーの歴史

ジョセフ・ボナンノは五大ファミリー発足から30年以上に渡り、ファミリーを率いてきた。

メンバーの大部分はシチリア島の同じ町から来ていたので、ファミリーは固い絆で結ばれていた。

しかし、ジョセフ・ボナンノがコミッションを追放されるとファミリーの団結は崩れてゆく。

事の発端はボナンノが他のファミリーのボスを皆殺しにしようと画策したことだった。

当のボナンノは敵対マフィアに誘拐された後、解放されると行方をくらました。

そこで現場の指揮は息子のビルに託された。

ビル・ボナンノはこう語っている。

「マフィアが家族や友人を裏切るとき、彼は自分自身をも裏切る。
その後ずっと、彼は潜在意識と魂の煉獄をぶらぶらとさまよって、平和や満足を見つけることはもうない運命にある。
私の知る限り、アメリカの真のマフィア、尊敬できる男の中に情報提供者はいませんでした」

ビル・ボナンノ

ビル・ボナンノ

 ボナンノの不在中、ビル・ボナンノはコンシリエーレに選出された。

一部メンバーは縁故主義に不満を感じていた。

反乱分子のリーダーはコンシリエーレ候補だったガスパール・ディグレゴリオ。

バッファローファミリーのボスでボナンノのいとこ ステファノ・マガディーノは、ディグレゴリオの後ろ楯となり戦争を促した。

また、マガディーノはガンビーノの後ろ楯を得ていたため、コミッションはこの反乱を全面的に支持した。

FBIの記録

FBIは1964年から1968年まで続いたバナナ戦争について何から何まで知り尽くしていた。

FBIはボナンノファミリーに関連するあらゆる場所に盗聴機を設置した。

1967年6月の報告書には、FBIが古い事件を利用して“ビッグな情報提供者”を得たと記されている。

この文書は現在もトップシークレット扱いであるが、公開された断片を繋ぎあわせると“ビッグな情報提供者”の正体が浮かび上がってくる。

情報提供者の情報は以下の通りである。

ディゴレグリオと敵対している

父親の問題に対処している

殺しを命じる立場

そう情報提供者はビル・ボナンノだったのだ。

FBIの策略

ジョゼフ・ボナンノ

FBI捜査官のリチャードアンダーソンはビルの弱さを利用した。

父や忠信を失い孤独に苛まれ疲弊していたビルはあっさりとFBIの脅しに屈したという。

当初は裏切りを嫌がったビルだったが、次第に熱心な協力者になっていった。

しかし失踪中のジョゼフが戻るとビルは再び協力を拒むようになっていった。

ちなみに、まだビルが情報提供者であるはずがないと思う人もいるかもしれないが、1967年8月に作成されたFBIの報告書にはさらなる証拠が記されている。

「情報提供者はビル・ボナンノと反乱グループの会談について語った

彼はポール・シャッカ、ピート・クロシアタ、フランク・マリを反乱グループのリーダー主要メンバーだと教えてくれた」

ここから消去法が成り立つ。

さらに「彼はビル・ボナンノは常に銃を持っていたと語った。彼は銃を持っていないで敵に捕まるよりも、銃を持っていて警察に捕まった方がマシだと言った」という記述がある。

この証言はビルの回顧録とも一致する。

FBIの介入

やがてボナンノとガンビーノが若いバナナ戦争が集結すると、FBIはビル・ボナンノに協力を再開するよう説得した。

FBIの要求は以下の3つ

・適切な監視を出来る体制を作ること

・他のメンバーを寝返らせる協力をすること

・コミッションの議席を獲得しFBIを潜入させること。

このようにFBIは常軌を逸した要求をした。

これらの要求を呑むことは“マフィア”そのものを売り渡すに等しいことである。

さらにコミッションの議席を獲得するとは“戦争を再開しガンビーノを打倒すること”を指していた。

結論からいうとこの要求はビルの能力では不可能であった。

ビルは申し出を断ったが、FBIはボナンノ家を爆破し、さらにビルを何度も逮捕して絞り上げた。

しかしジョゼフが家を爆破した犯人がFBIであることを突き止めると、手を引かざるをえなかった。

最終的にジョゼフとビルは完全にマフィア界から追放され引退した。

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