三分で学ぶ ルフトハンザ強奪
三分で学ぶ ルフトハンザ強奪
映画「グッドフェローズ」で描かれた当時、史上最大の強奪事件“ルフトハンザ強奪”をご紹介
闇の深いこの事件の真相とはー!?
ルッケーゼファミリー
映画「グッドフェローズ」を見た人ならご存知かもしれないが、事の発端はノミ屋のマーティン・クルーグマンが空港の職員から“空港に大金が届く”お聞いたことから始まった。
クルーグマンはこの情報をルッケーゼファミリーの非正規構成員のヘンリー・ヒルへ。
ヒルは強盗のプロ ジェームズ・バーグ(ジミー)へ情報を伝えた。
ジミーはアイリッシュであるため正式なマフィアメンバーではなく権限がなかったため、強奪をルッケーゼファミリーのカポ ポール・ヴァリオに相談。
最終的にこの強奪はあまりに大規模であるため、ルッケーゼファミリーとガンビーノファミリーが共同で行うこととなった。
さらに分け前は空港の権利を持つボナンノファミリーにも分けられるこに。
ジミーはあまりに凄腕であるため日頃から二つのファミリーに雇われていました。
1978年11月バーグは強奪チームのメンバーを決めた
・トミー・デシモーネ
トミーは先人をきる役割だった。
・アンジェロ・セペ
・ルイ・カフォラ
・ジョー・マンリ
・パオロ・リカストリ
・ロバート・マクマホン
この他に、近くで不測の事態に備え待機するバークの息子フランク。
使われたバンを処理場まで運ぶパーネル・“スタックス・”エドワーズ。
バンを処分する役目のジョン・ゴッティ等がいた。
強奪当日
1978年12月11日午前3時頃、黒いバンに乗った6人はケネディ空港内のルフトハンザの荷物が保管される建物へ侵入した。
メンバーは全員黒いスキーマスクと手袋を着用していた。
まず見回り中だった警備員が銃で殴られ、警報を解除させられた。
さらに警備員は免許証を取られ“従わないなら家に行く”と脅されたという。
それからチームは2手に別れた。
片方のチームはライトを消した車で待機。
もう片方のチームは建物へ現金をとりにいった。
こちらは強奪チームと呼ぶ事にする。
強奪チームは最初に出会った職員のジョン・マレーを人質に。
マレーは脅されm建物内に誰がいるかを洗いざらい話した。
強奪チームは食堂へ行き休憩中だった残りの五人に銃を向け、伏せるように命じた。
さらに強奪チームは建物内にいた二人を捕らえ食堂に軟禁した。
血だるまにされたマレーを見た職員達は震え上がっていたという。
一方、車で待機していたチームにも動きがあった。
職員がやってきたのだ。
その職員は直ちに拘束され、食堂へ連れていかれた。
午前4時21分、紆余曲折を得ながらも無事現金500万ドルと宝石類87万ドル分を回収したチームは空港を後に。
まだ通報するなよ、と脅されていた職員達は午前4時30分になってようやく警察に通報した。
朝までにバーグはチームとブルックリンの自動車工場で落ち合い現金を受け取った。
ヘンリー・ヒルが事件の成功を知ったのはニュースで強奪事件が報じられてからであった。
ヘンリーの見たルフトハンザ
ヘンリーは事件当時をこう振り返っている
「あの晩やるとはしらなかったんだ。
朝シャワーでラジオを聞いてそこで知ったんだ。
ジミーに会うと彼は上機嫌で俺に1万ドルくらいをくれた。
ポーリー(ヴァリオ)の弟は“やった奴らは今頃フロリダだな”なんて言っていたな。
彼は兄が強奪に関わったと知らなかったんだ。
強奪の日、ポーリーは息子に金を取りに行かせ、フロリダに隠させてたんだ
その後もジミーは俺を家に呼んで1万ドルくれたよ。
あそこに10万ドルはあったんじゃないかな」
しかしすぐにクリスマス気分は過ぎ去った。
殺戮の始まり
完璧に思えた強奪作戦の綻びはエドワーズがバンを処分する事を怠ったことから始まった。
エドワーズは女の家で酔いつぶれ、バンを路上駐車したまま放置。
警察はこのバンを見つけ、残された指紋かエドワーズにたどり着いた。
これに怒ったルッケーゼファミリーのカポ ポール・ヴァリオはトミー・デシモーネに“エドワーズを消せ”と命じる。
唯一の容疑者を消されたFBIはエドワーズの交遊関係を洗いだし、関係者達を24時間体制で監視し初めた。
加えてバー、公衆電話などあらゆる場所に盗聴器をセットした。
数日後、FBIはバーク達がよく出入りしているラウンジでアンジェロ・セペが「ルフトハンザのカバンが。。どこにある。。金は俺のだぞ。。。」と話している様子を録音した。
話の詳細は聞き取れなかったものの、FBIはセペが犯人の一人だと確信した。
このセペの発言は分け前が支払われない事について文句を言っているものと思われる。
バークはこの時仲間に分け前を渡すべきか、信用出来ないものを始末する方が良いのが悩んでいたのだ。
「あの事件以来バークはおかしくなった。ぶつぶつ独り言を言っているのを見たことがある。“あの金は呪われてたんだ”って」
byヘンリー・ヒル
1979年1月6日、ジミーにしつこく支払いを催促していたマーティン・クルーグマンが行方不明となった。
映画で描かれたようにクルーグマンはかつら店を経営していました。
彼の遺体は細切れにされ見つかることはなかった。
1979年1月17日、詐欺師のリチャード・イートンが食肉運搬用冷凍トラックから見つかった。
強奪には関与しなかったものの、事件の事を知りすぎ、さらにジミーの金をちょろまかしたので拷問され殺害された。
1979年3月には同じ理由でトム・モンテレオーネが死亡。
同じく3月、強奪した金の洗浄を引き受けたルイ・カフォラとその妻も殺害された。
カフォラは金が入るとキャデラックを買うなど派手に使い、妻にも自慢したためジミーに危険視されていたようだ。
ちなみにカフォラ夫妻の遺体は、今も見つかっていない。
1979年5月15日にはヘンリーに強奪の情報を流したジョー・マンリとロバート・マクマホンの遺体が放置された車から見つかった。
二人は後頭部を撃たれていた。
1979年6月13日にはパオロ・リカストリが射殺された。
リカストリはガンビーノファミリーの連絡係だった。
彼は蜂の巣にされ裸の状態でゴミの中に放置されていた。
そして誰もいなくなった。
さらなる殺害
1979年1月14日、トミー・デシモーネはマフィアの一員を殺害した報復として射殺された。
1979年2月10日、トミーの愛人テレサ・フェラーラの胴体が海を漂っているのが発見された。
1984年7月18日、アンジェロ・セペと愛人はルッケーゼファミリーの命令で射殺された。
二人は口の中を撃たれていた。
これは黙っていろと言う意味である。
1987年5月18日には、ジミーの息子フランクが麻薬の売人に射殺された。
このように多くの関係者が殺害された事から事件は迷宮入りし、ヘンリー・ヒルが映画の原作となる“ワイズガイ”を製作するまで真相は謎のままだった。
しかし実は逮捕された者や証言台にたった者もいる。
強奪に関与したルイ・ヴェルナーは逮捕され妻と共に証言を行っている。
また、2014年1月23日にはボナンノファミリーのヴィンセント・アサロが強奪に関与したとして逮捕されるも無罪となっている。
多くの説が現れては消え、金の行方も謎のままである。
おまけ
2019年、アンソニー・ライモンディというマフィアが自伝にルフトハンザ強奪の事を記している。
以前お伝えした通りアンソニーはラッキー・ルチアーノのいとこを名乗る人物で、当店パートナーのランスキー氏は「ルチアーノに親族がいないのはみんな知っているぞ」と激怒していた。
というのもランスキー家とルチアーノはかなり親しい間柄だったからだ。
それはさておき、アンソニーの語るエピソードが面白いので少しご紹介したい。
彼が言うにはルフトハンザ強奪事件の黒幕はマイヤー・ランスキーだという。
ランスキーは二つのファミリーに協力するよう説得し作戦を指揮したという。
あまり話すと怒られるのでこれくらいにしておくが、それはそれで興味深いエピソードである。