バグジーシーゲルとローズマリー
バグジーとローズマリー
目次
ローズマリーはフラミンゴホテルのオープニングイベントで曲を披露した人物。
今回は2017年に彼女がバグジーシーゲル、アルカポネとの交流について語った内容をお伝えします。
マフィアからのオファー
ある日、クラブ歌手として活動していたローズマリーの元に怪しげな電話がかかってきた。
「ラスベガスで私のために歌ってくれませんか?」
マリーは答えた「ラスベガスには何がありますか?砂漠でしょう?」
「オファーを受けるならジミー・デュランテとザビア・クガートと共演出来るでしょう」
ジミー・デュランテと親交があり尊敬していたマリーはこのオファーを受けることに決めた。
マリーが承諾すると相手は「私たちは12月26日にオープンします」とだけ話し電話を切った。
ラスベガスの旅
1946年、ラスベガスへの旅は困難なもだった。
最寄りの街ロサンゼルスからラスベガスまでこ飛行機は日に一便しかなかったのだ。
25日の朝、彼女が飛行機に乗ると役者や歌手、コメディアンなど様々な人物が座っていた。
ラスベガスに降り立つと見渡す限りの砂がマリーを待ち構えていた。
そして乗客は一丸となってフラミンゴへ。
そこでさっそくリハーサルに参加させられた。
当時ラスベガスのホテルはエルランチョとラストフロンティアの2つのみ。
フラミンゴは完成しておらず、客室は未完成だった。
その為、一向は最寄りのホテルに滞在しながらショーに出演することとなった。
売上は振るわかったと言われているが、オープングイベントは大成功に終わったという。
バグジーと出会う
ショーが終わった後、出演者達はコーヒーショップで休憩をとっていた。
そこへフラミンゴの支配人バグジーが現れた。
ローズマリーはこの時の様子を克明に語っている。
「男がみんなに小切手を手渡したの。
でも私の小切手だけ11ドル不足していましたわ。
そして、私と一緒に座っていたトミーませられ・ワンダーに言ったの。
これは一体何なの?なぜ11ドルが私の小切手から取り出されてるの?って。
配った男が誰かは知らなかったから、
小切手を配った人のところに行って、この小切手は11ドル足りないと言ってやったわ。
すると彼は‘’あなたは前借りをしましたか?‘’って。
私は言ったわ。
‘’いいえ、私の給料は3,500ドルの筈よ。
何なの?この11ドルは何なの?
あなたが11ドル欲しいならあげますよ。
でも私の小切手から取らないで!‘’
彼は静かに一言言ったわ
‘’それについて調べます‘’
私がテーブルに戻るとトミーが貧乏ゆすりしていた。
で、トミーは言った‘’あなたはあなたが誰と話していたか知っていますか?‘’
もちろん!と私は言った。
この場所を運営している男、シーゲルさんでしょぅて。
トミーはもう一度言ったわ
‘’ ‘ミスターシーゲルは、あのバグジーシーゲルだぞ!って‘’
でも私はバグジーが何者か、マフィアとは知らなかったの。
そうしているうちにバグジーが戻ってきた。
私は良くわからずドキドキしてたけどバグジーは丁寧にこう話したわ。
「すみません。間違って小切手からホテルの宿泊費用が引かれていました。申し訳ない」
カジノのサクラ
マリーはバグジーとの興味深いエピソードを他にも話している。
「喫茶店で話した日の夜、バグジーが私のところにやって来て、‘’バカラの遊び方を知っていますか?‘’と尋ねられたの。
私はもちろん!って言ったわ 。
そうしたら彼は25,000ドル渡すから、カジノで遊んで欲しいって。
でも私は断ったわ。
‘’私はサクラではありません。私はパフォーマーです。私は誰の頼みでもサクラをしません‘’って。
でも彼があまりにも執拗に頼むから、結局は引き受けたの。
それからは狂ったように賭けたわ。
最終的にお金は40,000ドルになっていた。
それをバグジーに返したかったけど、彼が居なくて。。
私はお金をブラジャーにしまって、ショーに出演しなきゃならなかったわ。
だからショーの後バグジーを見つけて文句を言ってやったの。
‘‘ブラジャーにしまう羽目になったのよ!’’って。
でもバグジーは笑って‘‘もっと魅力的になるよ’’って。
バージニアとの出会い
ローズマリーはバグジーだけではなく、ヴァージニア・ヒルとも関わりを持っていた。
「出演中、バグジーのガールフレンドは何度も私の所へやって来ました。
彼女は私に言った。
‘’あなたのガウンは美しい。あなたのショーは素晴らしい。でもあなたは少し体重を減らす必要がありますね‘’
私は太ったのではなく妊娠3ヶ月だと伝えたわ。
すると彼女は‘’ああ、なんてこと!私は近々パリに行くの。私があなたのために買う事が出来るものはありますか?‘’と。
私はせっかくだから洗礼用のドレス、美しい洗礼用のドレスが欲しいって頼んだわ。
ヴァージニアがパリから戻ってきたとき、彼女は私をバグジーのオフィスに呼びました。
そして彼女はバグジーに言いました。
‘’私は彼女のためにこれを買いました。彼女はそれに値する‘’
そして、ヴァージニアは私の娘のために美しい洗礼用ドレスをくれたの。
ヴァージニアはとても素敵な女性でした。
私は彼女についてあまり知らないけれど、彼女はとても親切だったわ。」
バグジーシーゲルとの別れ
1947年6月、ローズマリーは再びオファーを受けフラミンゴのショーに出演した。
出演後、マリーが報酬を受け取りに行くとバグジーが待っていた。
バグジーはそこで彼女への感謝をこう伝えた。
「私はあなたに言いたい。
私たちはあなたがとても好きです。
もっとここにいて欲しい。
あなたは素晴らしかった。
私たちはあなたを愛しています
あなたは‘’フラミンゴガール‘’だ。
それを忘れないで。」
マリーはこの言葉にこう応じた。
「ありがとう、シーゲルさん。
私は本当に感謝しています。」
この4日後、バグジーは射殺された。
紳士のバグジー
最後にマリーはバグジーの印象や人柄を懐かしんだ。
「彼は紳士だった。
それでいてハンサムだとも思ったわ。
そして彼は私にとてもとても親切でした。
彼は素晴らしかった。
カジノにいる間、彼は立派で、優しく、親切な人でした。
私は彼が怒っているのを見たことがない。
彼はとても身なりが良かったわ。
それお写真や映画が大好きでした。
彼は宣伝が大好きだったんだわ。
そして、私はマフィアがそれを望んでいなかったと思います。
人々がマフィアについて、または彼らが何を支配していたかについて何も知らなかった時代でしたから。
バグジーは多くの間違いを犯したと思います」
バグジーの死後
バグジーの死後もローズマリーはフラミンゴに出演し続けた。
バグジーの後任に据えられたモー・セドウェイもマリーの歌声を気に入っていたという。
マリーに他のホテルからの出演オファーが来るとセドウェイは決まって、フラミンゴのり高い報酬を請求するように勧めていたとか。
また、ラスベガスでの日々でマリーはトーマス・ルッケーゼなどの大物マフィアと仲良くなったという。