アルカポネの要塞ホテル
アルカポネの要塞ホテル
1928年7月30日、アルカポネはアウトフィット(シカゴマフィア)の拠点をレキシントンホテルに移した。
レキシントンホテルは映画などでは豪華絢爛な要塞のように描かれていますが実際はどうだったのでしょうか?
レキシントンホテル
レキシントンホテルは1892年にシカゴの建築家によって設計、建築された。
10階建てで、レレンガとテラコッタで造られている。
大統領が宿泊した事で名声を高めたが、1928年になるとアルカポネの事務所として悪名を高めることに。。。
カポネの要塞
カポネは2階、4階、5階を貸しきっていて、住まいにしていたスイートルームのの両隣と上下の部屋にはボディーガードを住まわせていた。
さらにロビーや廊下ではトニー・アッカルドなどのボディーガードが、マシンガンを抱えて椅子に座っていた。
カポネに気に入られていたボディーガードのルイ・カンパーニャはカポネの隣に置かれたベッドで一晩中警備にあたっていたという。
シカゴにはカポネを狙う命知らずのギャングが大勢いたが、このような警備体制のおかげか、ホテルを襲うものは一人もいなかった。
カポネの迷宮
カポネはこのホテル内に愛人も住まわせていた。
カポネの部屋の薬棚の後ろには階段があり、愛人の部屋まで繋がっていた。
それだけではなく万が一の際の為に地下トンネルに繋がる階段も用意。
この地下トンネルは元々は石炭を運ぶために造られたもので、やがて酒を秘密裏に運ぶために使用されていた。
当時この地下トンネルで酒を運んでいた労働者は、レキシントンホテルの真下で金貨や宝飾品がちりばめられたピンをよく見つけたそう。
カポネのスイートルーム
5階にあるカポネのスイートルームの入り口には、〝AC〟と掘られたオーク材の寄木細工が飾られていた。
部屋の中は、金と赤みがかったピンク色の華やかな漆喰の壁。
床には古代の東洋の敷物が轢かれていた。
部屋の中央には巨大なシャンデリア、暖炉を模したラジオも置かれていた。
仕事場となるデスクの後ろにはジョージ・ワシントンとエイブラハム・リンカーン、シカゴ市長のウィリアム・ヘイル・トンプソンの肖像画が飾られていた。
これはジョークとも皮肉とも思えるもので、トンプソンは汚職にまみれた政治家でした
それにデスク横にはヘラジカの頭。
バスルームも豪華であらゆる物が金メッキで塗装されていた。
勿論これらの内装や階段はカポネが私財を投じて造らせたもの。
当初カポネは二階部分のみを借りていたのだが物足りなくなり、4階5階を改装してから貸しきった。
ただ、ここで言わなければないのは1928年にはレキシントンホテルは〝古びたオンボロ〟と称されるようなホテルになっていたこと。
廊下は歩くとギシギシと軋み、壁や家具はボロボロ。
映画などで目にする輝かしいレキシントンホテルはあくまでもカポネの改装の結果なのである。
カポネを尋ねた記者の話
カポネはスイートルームで多くの客人をもてなしていた。
実際にスイートルームに行った記者が当時のようすをこう伝えている。
「ロビーの端から端まで昔ながらのカウンターが広がっていた。
その後ろには店員とレジ係が。
東側には葉巻の屋台があり、南には木とガラスでできた仕切りがあり、22番街の正面に並ぶお店の後壁として機能していた。
いつもロビーには何人かの男性がぶらぶらしています。ロビーのすぐ左には時代遅れのエレベーターがある。
エレベーターのケージには双方向のドアがあり、このエレベーターは何年にもわたって使用されていたため、上がる際にはギシギシと音を立てる。
エレベーターが五階に達すると、エレベーターが停止し、後ろ側のドアが開いた。
降りると真っ直ぐな長く狭い廊下に出ます。
東の角に着くとアル・カポネが住む230号室があります。
部屋には一度作動すると甲高い振動を与える昔ながらのツイストベルがありました。
押すとドアは約3cm開き、中の人が訪問者を精査する。
入室を許可された時、両隣にも3つのドアがある事に気がついた。
左側のドアはバスルームに通じているのが見えた。
私はベルを鳴らしたドアへと招かれた。ドアが開くとまぶしい光で目が眩んだ。
部屋には見晴らしのいい窓があり、その前にカポネの巨大なクルミの机が。
部屋の南の壁に沿って別の机も置かれていた。
部屋の北の壁には、美しく彫られた中国のキャビネットがあり、キャビネットの上には巨大なドイツの鳩時計がぶら下がっていた。
3番目の机が西の壁に押し付けられていました。暖炉と私たちが入ったドアの間にラジオコンソールがあります。
壁にはジョージ・ワシントンとエイブラハム・リンカーンの絵が飾られていた。
またカポネは忙しく映画を見にでかけられないので、プロジェクターも備え付けられていた。
彼は公開前の映画でもスイートで見られるそうだ。」
このように豪華絢爛なレキシントンホテルだったが、カポネが逮捕された後に残されたのは夢の跡とも思える古びた建物だけだった。
ボードウォークエンパイアで蘇ったカポネの要塞
ドラマ「ボードウォークエンパイア」では史実に忠実にカポネのアジトを描いています。
その再現度は驚嘆に値するのでぜひご覧ください。