マフィアのホッケーチーム
マフィアのホッケーチーム
西コネチカット州のマフィアのボス ジェームス・ガランテがオーナーを務めるホッケーチーム“ダンベリー・トラッシャーズ”は氷上でのダーティーなラフプレーで評判になった。
このチーム名はガランテが経営するゴミ収集会社に由来しています。
今回はダンベリー・トラッシャーズの世にも奇妙な物語をご紹介します
ガランテファミリー
ジェームス・ガランテは東海岸でゴミ収集業を営んでおり、表向きは成功したビジネスマンとして知られていた。
が、その成功の裏にはジェノベーゼ一ファミリーのマシュー・”マティ・ザ・ホース”・イアニエロとの友人があった。
イアニエロはジェノベーゼファミリーのフロントボスを勤めた大物。
ガランテとイアニエロは同業他社の従業員を片っ端から誘拐し脅迫、さらに他社のゴミ収集車に火をつけることでコネチカット州のゴミ処理ビジネスを独占。
全盛期には400人以上の従業員を抱えていたという。
プレゼント
ガランテは一人息子A.Jを溺愛していた。
その愛情は桁外れで、A.Jがプロレスにハマっているの知ればWWEの選手を自宅に呼び寄せるほど。
そしてこの愛情が大きなトラブルを招く。。
1992年に公開された映画「マイティ・ダックス」を見たA.Jはホッケーに興味を持ち始める。
当時、高校生のA.Jはよく「ボンボンめ」といじめにあっており、少々内気な所があった。
そこでA.Jはホッケーの試合でラフプレーを行うことで周囲を見返してやろうと思い付く。
その思惑は当たった。
この頃からA.Jはギャングのような服装と汚い言葉遣いも身につけ一端のチンピラに変身。
氷上では相手選手を大好きなWWEを参考にした技で沈めていった。
しかし、ある時敵選手に体当たりをした拍子にA.Jは大怪我を負い、二度とホッケーが出来ない体になってしまう。
A.Jは大いに落ち込んだ。
やっと見つけた居場所を失ったのだから無理もない。
愛する息子の落胆ぶりに耐えられなくなったガランテはあるものをサプライズプレゼントすることに決めた。
それはホッケーチーム。
ガランテは各所に金をバラまき、プロチームをコネチカット州に誘致。
しかもチームオーナーに高校生のA.J.を指名したのだった。
チームの方針
ガランテ父子は全米から全科のある選手やスーパースターをスカウト。
彼らに試合中にトラブルを起こすように命じた。
ガランテは後にこう話している
「私はチームにタフな人間が欲しかったのです。チームにはタフな奴を入れたかった」
ガランテ親子が目指したのはヒールのホッケーチーム。
ガランテは映画を見るとき悪役を応援していたそうで、“悪役が勝つスポーツ”を作りたかったそうだ。
反則、乱闘はもちろん、ガランテ自信もレフェリーを殴り逮捕されている。
最もタフな選手だったのはブラッド・ウィングフィールド。
彼は試合中に鼻を9回折って顔を300針縫ったという経歴の持ち主。
試合中にはいつも血しぶきを氷上に飛び散らせていた。
また、用具係も中々のワルで、相手チームの器具を破壊したりと嫌がらせに精を出した。
そして、この戦略が功を奏し、普段は話題にならないマイナーリーグのチームが連日メディアに取り上げられ、会場はサポーターで満員に。
ガランテ親子は有名人となり持て囃された。
余談 ソプラノズ
マフィアの日常を描いた人気ドラマ「ソプラノス」の主人公 トニー・ソプラノとして主演したジェームズガンドルフィーニは、自分と他のキャストメンバーののサインをガランテにプレゼント。
ガランテを「本物のトニーソプラノ」と呼んでいた。
息子の名前がA.Jである事や、似たようなゴミ処理ビジネスをしている事からガランテこそソプラノのモデルではないかと噂されている。
失墜
2008年9月3日、ガランテはFBIに逮捕された。
あまりに目障りなガランテをFBIは長年マークし捜査を続けていたのだ。
容疑は詐欺や脅迫など97件。
無期懲役に企てA.Jの起訴を持ち出されたガランテは司法取引に応じ、87ヶ月の懲役刑を受けた。
チームにとって問題となったのは選手達に支払われていた高額なギャラの出所が違法ビジネスの収益だっということ。
事態を重く見たホッケー連盟の意向もありチームは解散。
悪役は姿を消した。
その後、釈放されたガランテは灯油とプロパンを配達する会社に関与している。
ちなみにごみ処理事業に再参入することは法律で禁じられています。
一方、息子のA.Jはコネチカット州でボクシングジムを立ち上げ。
現在はボクシング界の悪役として活躍している。