即戦力のギャング達
イランの治安機構は、敵を排除するために裏社会の最も怪しい組織の一部を利用している。
アメリカ・メリーランド州在住のイラン反体制派2人を標的にしたとして、イラン人1人とカナダ人のヘルズ・エンジェルの2人が嘱託殺人の罪で起訴された。
49歳のナジ・シャリフィ・ジンダシュティはイランに住んでおり、アメリカにいるイラン政権の反体制派や反政府活動家を抹殺する指示を出していたとみられている。もちろん政府の意向に従って。
「 SkyECC 」と呼ばれる暗号化されたメッセージングサービスを使用して、ジンダシュティは2020年12月に、43歳のダミオン・パトリック・ジョン・ライアンに連絡を取りました。2人は「仕事」、「設備」、「道具」、そして「お金を稼ぐ」計画についてテキストメッセージを送った。
ライアンはカナダのヘルズ・エンジェルスの正規メンバーである。
彼は刑務所に服役した際にイラン人に誘われ、カナダ、アメリカでの殺しを引き受けることに合意したのだった。
ジンダシュティ
2021年1月、彼らは米国で「仕事」をすることについて話し合った。ライアンは、自分がアメリカで仕事をするのは難しいが、「それをやってくれる人がいるかもしれない」と述べた。同じ日、彼はヘルズ・エンジェルス所属の29歳のアダム・リチャード・ピアソンにメリーランド州での「仕事」についてメッセージを送った。
するとピアソンは率直に、「俺の中には射撃が時な奴が多い」と述べた。
またピアソンは、「見せしめのために(被害者の)頭を何度も撃つ」よう奨励し、「胴体から頭部を消さなければならない」と伝えるだろうと語った。
その後、ジンダシュティとライアンは、経費として2万ドルに加えて、「仕事」に対して35万ドルを支払うことで合意した。
その後数日間、ライアンと追加の協力者は、 SkyECC 上で文通を続けた。具体的には、被害者の既知の住所を強調した地図の画像など、被害者候補者に関する情報をライアンに送っていた。
2021年3月8日、男は陰謀に伴う旅費を賄う目的でライアンへの2万ドルの支払いを仲介した。
それから殺人は実行に移されたが実行犯が逮捕され、芋づる式にヘルズ・エンジェルの2人も逮捕されたのだった。
イランの手口
イラン諜報機関(もしくは政府関係者)が、ギャング仕事を依頼したのははこれが初めてではない。オランダでは、イラン人が敵2名を排除するために悪名高いモロッコのマフィアをスカウトしたとされる。
2015年12月15日の朝、56歳の電気技師アリ・モタメドさんは、アムステルダム近郊のごく平凡な都市アルメレの長屋の前で殺し屋に頭を撃たれた。モタメドの正体は、イラン人民ムジャヒディンのメンバー、モハマド・レザー・コラヒ・サマディで、イラン当局によれば、1981年にイスラム共和党本部を爆破し、70人以上の職員を殺害した首謀者だった。
暗殺者らは、モロッコ系オランダ人の犯罪ボス、リドゥアン・タギの側近であるモロッコ系オランダ人の麻薬ボス、ナウファル・ファシの命令に従って活動していた。
最終的にイラン政府の指示で墓地が埋まるほど多くの人が殺害された、痕跡はほとんど残っていないという。
こうしたイランの暗躍についてアメリカ政府は警戒感を強めており、今後はFBIやCIAによる監視が強化されるとみられている。
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