シカゴマフィア神話の崩壊
シカゴマフィアに激震
長年、シカゴのマフィア組織はベールに包まれてきた。
その秘密主義ぶりはすさまじく、ボスが誰なのか、メンバーが何人いるのかも謎である。
しかし、最近になってその神話は崩壊しつつある。
2023年2月、シカゴマフィアの幹部、ジェームズ “ジミー I” イネディーノが情報提供者であったことが明らかとなった。
FBIの記録には、イネディノは情報提供番号6931-Cとして記載されている。
文書によると、彼とFBIの関わりは1960年代後半から1970年代半ばまで遡るようだ。だが、イネディーノは80歳で自然死するまで、秘密を守り通した。
関係者はイネディーノについてこう話す。
「イネディノは強力なシセロのストリートクルーを率いていたにもかかわらず、新聞記事にほとんど登場しなかった」
いったいなぜなのか?
それはFBIが彼に目をかけていたからなのかもしれない。
どうやらイネディーノは、トラック貨物の盗難に関する情報をFBIに提供していたようだ。
その事について作家のジョン・バインダーはこう分析している。
「組織は、彼がFBIの情報提供者であることを知らなかったはずです。
彼はトラブルに巻き込まれ行き詰まり、それゆえFBIに協力することに同意したんじゃないだろうか?
だが、どれほどの情報を提供していたのかは全くの謎だ」
バインダーによれば、イネディーノはファミリーのトップに近い地位に君臨しているとされる、サルバトーレ・“ソリー・D”・デローレンティスの直属の部下だった。
実際に、デローレンティスさんは葬儀にこんなメッセージを送っている。
「息子たちのためにしてくれたことに本当に感謝しています。あなたを偲んで3本の木を植えさせていただきます」
これからの組織は?
この事件については2つの説がささやかれている。
まず一つ目は、イネディーノが情報提供者だと明かしたのはFBIの宣戦布告だという説。
これは、これからはイネディーノのことを考えあえて大きな動きを取れなかったFBIが、大規模摘発を行うかもしれないというものである。
二つ目は、イネディーノが重要な情報は明かさなかったという説。
もしイネディーノがわずかな情報しか提供していなかったら、もしくはデローレンティスが情報提供者であることを知っていたとしたらー
今後もファミリーの秘密は守られ続けるだろう。