禁酒法時代の代替製品
禁酒法時代の代替製品
コロナの影響により様々な企業が代替製品を生産するようになりました。
蒸留所は消毒剤を、居酒屋はお弁当を。。など。
歴史は繰り返す。
1920年代のアメリカにも同じような事がありました。
禁酒法が施行されると飲食店や醸造所は大打撃を受けました。
特に醸造所は全面的に閉鎖され、代替え製品の製造を余儀なくされたのです。
ここからはいくつかの成功した代替え製品をご紹介します。
麦芽シロップ
多くの醸造所は麦芽シロップを製造し始めた。
麦芽シロップとはビール製造の主要原料の 1 つである大麦麦芽から作られた甘味料。
禁酒法以前のシロップはモルトミルクを作るために使用され、製菓業者、ベーカリー、ソーダショップが使用していた。
しかし禁酒法時代が始まると自家醸造に使用する事を前提に購入する者が増え、“グレーな商品”となってしまった。
麦芽シロップだけではビールはできない。
そこで自家醸造の市場を独占するために、醸造所はビール酵母も販売した。
酵母も禁酒法施行後は完全に醸造を目的としたものへと配合が変えられ、客層もがらりと変わったのだった。
ビールとソフトドリンク
禁酒法時代にはニア ビールも多く作られた。
ニアビールは法的にノンアルコールビールと分類呼されるアルコール度数が 0.5% 未満の発酵飲料。
妊娠中でも飲める!と宣伝され大人気となった。
お菓子
キャンディーも醸造所が好んだ代替え品の一つ。
多くの醸造所はお菓子の製産を始めたのだ。
ミルウォーキーのブラッツ醸造所はブドウとミントの風味のチューインガムを販売し始め、ビールよりも好評だったという。
しかし中には失敗例もある。
シュリッツのエリーネ醸造所はチョコレートバーを販売し始めた。
しかし魚油を潤滑剤として使用する機械でバーを包装したため、チョコレートは生臭く大不評だった。
醸造所にはすでに冷蔵、冷凍、低温殺菌のための設備が整っていたため、乳製品の製産にも適していた。
禁酒法開始前と後ではアイスクリーム工場は数倍に増えていた。
トラック
中には代替え品を作り始めた同業者向けに商売を始めた醸造所もあった。
醸造所の持ち主だったアンハイザー・ブッシュはアイスクリームのブームに目を付け、冷蔵トラックの製産を開始した。
商売は順調だったがドライアイスの登場により売り上げは落ち込んだ。
しかしブッシュは逞しい人物で、冷蔵トラックが売れなくなると自動車産業に進出した。
人工氷
禁酒法以前ニューイングランド最大の醸造所だったナラガンセット醸造会社は、ビールの製産に使用していた舌触りの良い水に目を付けた。
氷は禁酒法が施行されるとメインの商品とななった。
チーズ
最後にご紹介するのはチーズ。
なんと当時はレンガくらいのサイズの木箱にいれて店頭で売られていた。
もちろんこれらの醸造所の多くは禁酒法が終わると本業に戻りました。
その点でも歴史は繰り返されるのではないでしょうか。
早くお酒が解禁されるといいですね