麻薬カルテルのボスが警察に感謝
麻薬カルテルのボスが警察に感謝
麻薬カルテルのボス、セバスティアン・マルセットの発言が物議をかもしている。
彼は現在、麻薬密売と殺人の罪に問われ逃亡中の身である。
そんな彼は、8月末に警察に感謝を述べる動画を投稿した。
マルセットの逃避行
マーセットはブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アメリカで逮捕状が出ているものの、奇跡的にうまく逃げおうせてきた。
2021年、アラブ首長国連邦のドバイ空港でパラグアイの偽造パスポートを使用したとしてマルセットは当局に拘束された。
指名手配犯が偽造パスポートを使用して捕まったのだ。
万事休すと考えるのが普通だろう。
しかしマルセットは無事だった。
彼は何らかの方法で新しいパスポートを発行してもらうことに成功。
意気揚々と空港を後にしている。
この時点で、マルセットは金であらゆるトラブルを解決できることを悟っただろう。
だが、そんなマルセットに宿敵が現れた。
その名はマルセロ・ペッチ。
検察官の彼はパラグアイ史上最大のコカイン密売と資金洗浄に対する作戦「A Ultranza Py」を指揮していることで知られていた。
また、マルセロ・ペッチは私生活も順調だった。
彼は2022年4月30日にパラグアイ人ジャーナリストのクラウディア・アギレラ・キンタナと結婚。
新婚旅行では、コロンビアのカルタヘナ沖にあるバル島のプライベートビーチリゾートに行った。
その最中、悲劇が起こってしまう。
クラウディア・アギレラ・キンタナは幸せいっぱいな新婚旅行の様子をインスタグラムにアップすることにした。
それから2時間後、マルセロ・ペッチとキンタナが海岸にいると、海のかなたから黒いものが近づいてきた。
「なんだあれ?」
不審に思ったキンタナが目を凝らしてみると、どうやら黒い影はジェットスキーのようだ。
ジェットスキーには、バカンスを楽しんでいる風の男性2人が乗っていている。
彼らが近づいてきた段階でキンタナは少し安心していた。
というのも、二人は親し気な笑みを浮かべていたからである。
やがて男の1人がジェットスキーを降りて近づいてきた。
すると、突如拳銃を取り出し発砲した。
マルセロは顔面に1発、背中にもう一発の弾丸を受け絶命。
キンタナは取り乱し、これ以上の事件の詳細は覚えていないと話している。
事件の後、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は殺害を命じた容疑者としてマーセットを名指しで非難した。
逃亡
事件の首謀者として名指しされたマーセットは、ボリビアに逃亡。
そこでも金をばらまき夢の生活を手に入れた。
なんと彼は不動産を購入やサッカーチームを購入。
さらに国の中心地であるサンタクルスに豪邸を建て、妻と子供たちと住み始めた。
だが、やがて警察の中でマーセットを逮捕しようという動きが広まる。
2023年7月29日土曜日、数千人の警官がマーセットの豪邸に殺到した。
その捜索中、警官のグループがマーセットのボディガードの1人と遭遇し、人質に取られてしまったものの、後に解放されている。
警察は豪邸からライフル銃17丁、ピストル1丁、防弾チョッキを発見。
さらに関係が疑われる十数人を逮捕したが、主要なターゲットを捕まえることはできなかった。
警察が到着した時、マーセットはすでに妻と子供とともに市外に逃走していたようだ。
腐敗した警察に感謝する
8月2日水曜日、マーセットはボリビアのメディアに、ビデオメッセージを送った。
「私は無実の人々を巻き込むつもりはありません。
警察の操作により困っている人たちは誰も私のビジネスとは何の関係もありません
それから、フェルン(ボリビアの麻薬密売対策特別部隊)の長官に感謝の意を表します。
大臣が私に「逮捕状を発行した」と教えてくれたので、なんとか逃げられました。」
フェルクンの所長イスマエル・ヴィルカはこれらの告発を否定し、「麻薬密売人の嘘や供述によって私の30年のキャリアが汚されることは許さない」と述べた。
なぜマーセットがそのようなビデオを公開したのかは不明である。