波止場の帝王
ロドリゲスと波止場
ニュージャージー州のギャング、マニー・”ギターバー”・ロドリゲス。
警察とウォーターフロント委員会は彼がニューヨークの港に大きな影響力を持っていると見ている。
ウォーターフロント委員会とは、ニューヨーク州とニュージャージー州が共同で設立した波止場の監視機関。
現在はニュージャージー州のフィル・マーフィー知事が委員会を解散させようとしたことから存亡の危機に瀕している。
そんな委員会が注視するロドリゲスはとにかく凶暴な男だ。
ロドリゲスは殺人罪で服役した経験が。
さらに釈放されて間もなく、借金を返さない男の胸にナイフを突き刺すというとう事件を起こした。
波止場組合の年金基金を詐取して職を失った元港湾監督官であるプグリース氏はこの事件についてこう説明する。
「ロドリゲスの睾丸をつかみ、顔を殴った。次に彼は首からネックレスを引きちぎり、ナイフを胸に刺した」
一方、逮捕されたロドリゲスはこう主張した。
「正当防衛だ」
いざ裁判が始まると、被害者を含め誰もがロドリゲスを恐れ、口をつむぐという状態に。
検察は反論できる証人がいなかったため、起訴を取り下げるしかなかった。
刺された職員も善人というわけではない。
事件がきっかけで彼が組合の年金基金から3万ドルを横領し、不動産を購入しようとしていたことが明らかとなったのだ。
彼は横領が発覚後、職を解雇されたが、ケガが治るとすぐに復職を果たしている。
出入り禁止に
2019年、ロドリゲスはにマネーロンダリング容疑に対する有罪答弁の後、波止場を出入りを禁止された。
しかし波止場とロドリゲスの関係は切れていない。
彼は現在清掃会社を経営しているのだが、その主な業務は波止場の掃除だ。
警察当局によると、ロドリゲスは今も波止場コネクションの現金化を続けている。
彼は清掃会社を経営する傍ら、ニューアークにナイトクラブをオープン。
そこは港湾労働者のたまり場になっている。
ロドリゲスがここまで強い影響力を持っているのはジェノベーゼファミリーの身内だからだ。
ロドリゲスはヒスパニック系のため正式なメンバーにはなれないが、ジェノベーゼ・ファミリーの仲間である。
「彼はマイキー・シガーの一味です」
情報筋はそう話す。
マイキー・シガーことマイケル・コッポラはジェノベーゼファミリーの幹部。
コッポラは1977年にニュージャージーのモーテルで仲間のマフィアを殺し逃亡。
最終的に彼は逮捕され、2009年に殺人と波止場組合への恐喝の罪で裁判にかけられた。
陪審員は殺人については無罪としたが、恐喝に関連するRICO犯罪については有罪に。
コッポラは2023年10月に出所する予定だ。
さらなる戦い
ウォーターフロント委員会は、波止場の職員がマフィアと関わりを持っていた場合、解雇する権限を持っている。
今年に入ってから委員会は港湾労働者9人を解雇処分にした。
そのうちの1人、ファリド・アマドはロドリゲスの友人。
調査員は、アマドとロドリゲスがFacebookで6年間交流していたことを発見。
アマドを問いただしたが、彼は「ロドリゲスが犯罪者だとは知らなかった」と主張した。
しかし、Facebook内のメッセージでアマドがマフィアに対する尊敬の念伝えていたことから解雇が決定した。
とはいえ、これは氷山の一角に過ぎない。
調査員はメディアにこう嘆いた。
「港湾を運営する人々とその労働者を代表する組合が、窃盗と汚職の機会を提供しながら、マフィアの知り合いに職も与え続けている。
彼らの給料はほとんどが6桁だ」