イタリアマフィアの現状を語る討論会
イタリアマフィアの現状を語る討論会
今回は専門家の発言を通して、イタリアマフィアの現状を分析していきます。
これらの記事からも解るようにアメリカマフィアが衰退しているのに対してイタリアでは依然としてマフィアは絶大な影響力を持っています。
ジョバンニ・ファルコーネとも一緒に働いたスイスの治安判事 カーラデルポンテとジャーナリストのディナ・ラウリチェッラがマフィアについて話しました。
ディナ・ラウリチェッラ
まず第一にディナ・ラウリチェッラはマフィアについて知らない人々に、マフィアが市民社会にもたらす影響を語りました。
「これらの現実から遠く離れて生きていると信じている人は間違っています。
残念ながら、マフィアのビジネスとマフィアの利益によって汚染されていない場所、環境、都市はありません。
私たちの国の問題は以前として腐敗したままです。
問題を取り除くまで、私たちは未来に向かって一歩たりとも前進することはほとんどありません。
繰り返しますが、マフィアと自分は関係ないと思っている人は間違っています。おそらく、特定の環境の関わらない職業をしているからでしょう。ですが間違いです」
インタビュアー
どのくらいの犯罪が社会に影響を与えるかについて経済的な計算が行われたことがありますか?
ディナ・ラウリチェッラ
「マフィアの合法的な活動は、イタリアGDPのほぼ3%に相当するという推定があります。
これは、州が生産する商品とサービスの総価値です。これらが〝合法的な〟活動での利益のみの場合、違法な仕事がどれほどのお金を産んでいるかは想像もつきません。
ある人ははマフィアがテレビで説明されていないと言います。
そうではなく、ドラマや映画などを通してマフィアは描かれています。
映画はマフィアについて語り、非常に人気です。
私が変える必要があると思っているのは、メディアがマフィアについて話す方法です。
私たちは、より口当たりの良い方法で物事を伝えることを学ぶ必要があります。
今日マフィアの問題は拡大し続けています。
たとえばンドランゲタは、イタリアよりもはるかに多くの資金を海外投資に回すようになりました。
国境の外では、私たちの国の法が適用されません。
これが法執行規制のないドイツ、オランダ、スイスなどの国がマフィアの魅力的な活動領域になる理由です。
またアメリカに関しては、残念ながら私が特定の方法で資金を追跡した経験はありません。
カーラ・デルポンテ
インタビュアー
あなたの個人的および家族的な経験とは別に、マフィア撲滅に向かってあなたを動かすものは何ですか?
カーラデルポンテ
「正直に言うと、私の国への愛情、変化したいという願望、そして市民社会が変化を約束する準備ができているという信念です。
私は、1980年代と1990年代のマフィア摘発から流れが変わったと信じています。
しかし、これ以上の変化のためには多くの協力が必要。
私だけでは多くのことを行うことはできず、行政官も一人で多くのことをすることはできません。
そのため、政治やメディアの世界からの注目が欠かせません。
そしてマフィアをメディアの物語と政治的議題の中心に戻すことが不可欠です。
インタビュアー
それで、報道、政治、調査ジャーナリズムを動員することによって、社会はあなたの働きを歓迎する準備ができていますか?
カーラデルポンテ
「私はそれを確信しています。人々は変化を望んでいます。
すべての市民がマフィアに屈服しているわけではありません。
多くの人は反応を望んでおり、放っておくべきではありません。
物語を語りたいという私の願望は、たとえそのすべてに制限があっても、これらの人々に信頼を与え、メディアの注目をこれらの問題に戻すことを意図しています。そして、まさにここで私の仕事が続き、そしてこれからも続くでしょう。そしてそれが実を結ぶことを願っています」
まとめ
映画「シチリアーノ」でも描かれた〝マフィア大裁判〟によりイタリアマフィアは大きな打撃を受け、治安はいくぶんか改善されたと言われています。
しかしながら未だにマッテオ・メッシーナ・デナロのような逃亡者が多いうえに麻薬取引も盛んに行われており、さらに今後はアメリカからの帰国組の活動によりマフィアはさらに大きく動くと思われます。
果たして司法当局はどこまでマフィアを追い詰められるのか注目です。